垂木の役割とメンテナンス方法をプロが徹底解説!

垂木(たるき)とは?

屋根の下に隠れている「垂木(たるき)」。建物の耐久性や安全性を支える重要な役割を果たしています。

しかし、普段は目にする機会がないため、その重要性を意識することは少ないかもしれません。

垂木のサイズや材質を適切に選ばないと、屋根の歪みや雨漏りの原因となり、結果的に建物全体の寿命を縮めることになります。

本記事では、垂木の基本知識から、屋根材ごとの適切な選定基準、メンテナンス方法まで詳しく解説します。

目次

垂木とは?その役割を理解しよう

垂木(たるき)とは、屋根の骨組みを構成する部材の一つで、屋根の形状を維持し、強度を確保するために不可欠な建材です。

一般的に、屋根の最上部にある「棟木(むなぎ)」と、軒先にある「桁(けた)」の間に一定の間隔で並べられ、屋根の荷重を分散して支える役割を持っています。

垂木の本数やサイズ、材質が適切でないと、屋根全体の安定性が損なわれ、たわみや歪みが発生しやすくなります。

垂木の主な役割

  1. 屋根の荷重を分散する
    屋根は、雨や雪、風などの外的要因によって大きな負荷がかかる部分です。垂木はこれらの荷重を分散させ、建物全体に均等に伝える役割を担います。適切に設計された垂木がないと、屋根が局所的に沈み込み、最悪の場合、雨漏りや屋根の崩落を引き起こす原因となります。
  2. 屋根の形状を保持する
    屋根の勾配(傾斜)を維持するためにも、垂木は重要な役割を果たします。屋根の形状が均一でないと、雨水が適切に排水されず、たまりやすくなります。これが長期間続くと、野地板や垂木自体の劣化が進行し、屋根の耐久性が低下してしまいます。
  3. 屋根の耐震性を向上させる
    日本は地震が多い国のため、屋根の耐震性は非常に重要です。垂木がしっかりと固定されていることで、揺れによる歪みや屋根の脱落を防ぎ、建物の安全性を向上させます。特に、耐震設計の住宅では、垂木の配置や固定方法が厳格に決められています。
  4. 屋根の断熱・通気性を確保する
    垂木の間に断熱材を配置することで、屋根からの熱の出入りを抑え、室内環境を快適に保つ役割もあります。また、屋根内部の通気性を確保することで、結露の発生を防ぎ、カビや腐食のリスクを減らす効果もあります。

垂木の配置と構造

垂木の配置や構造は、屋根の種類や大きさによって異なります。

  • 並列配置(一般的な住宅屋根)
    通常、垂木は一定間隔で並べられ、野地板を支えます。一般的な住宅では30cm~45cmの間隔で設置されることが多いです。
  • トラス構造(大型建築物や倉庫)
    トラス構造の屋根では、垂木は三角形のフレーム状に組まれ、さらに強度を高めるための補強材として機能します。

適切な垂木がないとどうなる?

垂木の設置が不適切だったり、劣化したまま放置すると、次のような問題が発生する可能性があります。

屋根のたわみ・歪み
屋根全体の形状が崩れ、雨水が溜まりやすくなり、雨漏りのリスクが高まります。

屋根の崩壊リスク
長年の荷重に耐えられなくなり、屋根材が剥がれたり、最悪の場合は崩落する危険性も。

断熱性能の低下
垂木の配置が適切でないと、断熱材の効果が低下し、夏は暑く、冬は寒い室内環境になってしまいます。

耐震性の低下
地震が発生した際、屋根が歪みやすくなり、建物全体の揺れを増幅させてしまう可能性があります。

垂木は屋根の基礎を支える重要な部材であり、適切な設計と施工が欠かせません。次のセクションでは、屋根材ごとに適した垂木のサイズや仕様について詳しく解説します。

垂木の交換・補修方法

屋根工事

垂木が劣化してしまった場合、どのように修理・交換すればよいのでしょうか?

1. 垂木の劣化の兆候をチェックする

以下のような症状が見られる場合、垂木の交換や補修が必要になる可能性があります。

屋根のたわみや歪み:屋根が波打つように見える場合、垂木の強度が低下している可能性がある。 

雨漏りやカビの発生:垂木が湿気を吸収し腐食すると、カビの繁殖や木材の劣化が進行する。

 ✔ シロアリ被害:木材部分にシロアリの痕跡(穴や粉状の木屑)がある場合は、早急な対応が必要。 

屋根材のズレ:垂木の歪みが原因で、屋根材がずれることがある。

2. 垂木の交換方法

垂木が大きく損傷している場合、部分補修では対応できないことがあります。この場合は、新しい垂木への交換が必要です。

🔧 交換の手順

  1. 屋根材と野地板を部分的に撤去:垂木の状態を直接確認できるように、屋根材とその下の野地板を取り外す。
  2. 劣化した垂木の取り外し:既存の垂木を慎重に解体し、固定具(釘やビス)を抜く。
  3. 新しい垂木の取り付け:適切なサイズと材質の垂木を選び、元の位置に固定する。
  4. 野地板と屋根材の復旧:新しい垂木を設置した後、野地板を戻し、防水シートや屋根材を元通りに取り付ける。

3. 垂木の補修方法(部分修理)

垂木全体を交換するのではなく、補修で対応できるケースもあります。

ビスや補強金具で固定する:少しのたわみやひび割れであれば、強化用のビスや補強金具を使用して補修可能。

 ✔ エポキシ樹脂で補強する:ひび割れが軽度な場合は、エポキシ樹脂を注入して強度を回復させる。 

補強材を追加する:既存の垂木の横に補強用の木材を設置し、ビスやボルトで固定することで強度を高める。

4. 垂木交換・補修のポイント

適切な材質を選ぶ:無垢材、集成材、金属製など用途に合った材料を選ぶ。

 ✔ 防腐処理を施す:交換・補修後は、防腐剤や防虫剤を塗布し、長持ちさせる。

 ✔ 屋根全体の点検を行う:垂木の劣化は他の部材にも影響を与えるため、野地板や防水シートも一緒に確認する。

 ✔ 専門業者に相談する:大掛かりな修理になる場合は、安全のためプロに依頼するのがベスト。

定期的な点検と適切な補修・交換を行うことで、屋根全体の耐久性を向上させることができます。

屋根材によって異なる垂木のサイズと仕様

垂木のサイズは、使用する屋根材の重さや屋根の設計条件によって変わります。

一般的な垂木サイズ

  • スレート屋根・ガルバリウム鋼板:幅4.5cm×高さ6cm
  • 瓦屋根:幅6cm×高さ7.5cm

軒の出が長い場合の補強サイズ

  • スレート屋根:幅4.5cm×高さ7.5cm
  • 瓦屋根:幅6cm×高さ10.5cm

瓦屋根は特に重いため、強度のある垂木が必要になります。一方で、ガルバリウム鋼板は軽量のため、比較的細い垂木でも十分な強度を確保できます。

垂木の間隔と強度のバランス

垂木の間隔は、屋根全体の強度を左右する重要な要素です。適切な間隔で配置されていないと、屋根材の耐久性や構造の安定性に影響を及ぼします。

標準的な垂木の間隔

一般的な住宅では、垂木の間隔は30cm~45cm程度に設定されることが多いです。

この間隔で均等に配置することで、屋根の荷重を分散させ、構造的な安定性を確保します。間隔が広すぎると屋根のたわみが発生しやすくなり、強風時の揺れや歪みの原因になります。

屋根材の種類による垂木の間隔の違い

瓦屋根(重い):間隔を狭める(30cm前後)ことで荷重をしっかり支える。

スレート屋根(中程度の重さ):標準的な間隔(35cm~40cm)で配置。

金属屋根(ガルバリウム鋼板など)(軽い):間隔を広め(40cm~45cm)に取ることでコスト削減が可能。

間隔が広すぎるとどうなる?

屋根がたわみやすくなり、長期間の使用で歪みが発生。

野地板の負担が増加し、雨漏りやひび割れの原因に。

台風や強風時に屋根材が浮き上がるリスクが高まる。

間隔が狭すぎるとどうなる?

必要以上に垂木を使用することで、コストが増加。

通気性が悪くなり、湿気がこもりやすくなる。

施工時の調整が難しくなり、施工コストが上昇。

軒の出と垂木の間隔

軒の出が長くなるほど、屋根の端部にかかる荷重が増加します。そのため、軒の出が長い設計では、垂木の高さを増やしたり、間隔を狭めることで強度を確保する必要があります。特に、1m以上の軒の出がある場合は、通常よりも強度のある垂木を使用するか、補助の支えを追加することが推奨されます。

補強方法としてのトラス構造

大型の建物や倉庫では、単純な垂木配置では強度が足りない場合があるため、三角形のフレームを組み合わせた「トラス構造」が採用されます。この構造を用いることで、垂木の間隔を広めにとりながらも強度を確保できます。

適切な垂木の間隔を設定することで、屋根の耐久性を高め、長期間にわたって安定した状態を維持できます。

屋根のリフォームや新築時には、屋根材の特性や設計条件を考慮したうえで、最適な間隔を設定することが重要です。

垂木の素材と種類

垂木にはさまざまな素材があり、それぞれの特性によって適切な用途が異なります。

無垢材垂木(天然木)

強度があり加工しやすいが、湿気に弱く反りやすい

集成材垂木(接着加工された木材)

反りや割れに強く、安定した品質を持つ

金属製垂木(アルミやスチール)

非常に耐久性が高いが、コストがかかる

一般住宅では、無垢材または集成材が使われることが多く、耐久性とコストのバランスを考慮して選定されます。

垂木のメンテナンスと寿命

垂木は屋根の内部にあるため、目視での点検が難しい部分ですが、定期的なチェックが必要です。

メンテナンスのポイント

  • 雨漏りチェック:屋根裏の湿気が垂木に影響を与えるため、雨漏りがないか確認
  • シロアリ対策:木材部分にはシロアリが侵入するリスクがあるため、定期的な防虫処理が必要
  • たわみ・変形の確認:屋根が波打って見える場合は、垂木が変形している可能性あり

垂木の寿命の目安

  • 無垢材垂木:30〜40年
  • 集成材垂木:40〜50年
  • 金属製垂木:50年以上

築20年以上経過した住宅では、屋根の点検とともに垂木の状態も確認し、必要に応じて補強や交換を検討しましょう。

屋根の劣化サインと早期発見のポイント

垂木の状態を知るためには、屋根の外側からの変化にも注意を払うことが重要です。

屋根の劣化サイン

  • 屋根材の色褪せや変色
  • 屋根材の浮きや剥がれ
  • 雨漏りや天井のシミ
  • 屋根のたわみや歪み

早期発見のポイント

  • 定期的な目視点検:年に1〜2回、屋根の状態を外から確認
  • 悪天候後のチェック:台風や大雨の後は、屋根材のズレや破損がないか確認
  • 専門業者による点検:5年に一度はプロの点検を受ける

まとめ

垂木は、屋根の強度と安定性を支える重要な役割を担っています。適切なサイズと材質を選ぶことで、屋根の寿命を延ばし、耐震性や防水性を向上させることが可能です。

また、定期的な点検とメンテナンスを行うことで、雨漏りや構造劣化のリスクを軽減できます。屋根リフォームを検討している方は、屋根材だけでなく、その支えとなる垂木にも注目し、長く安心して暮らせる住まいを目指しましょう。

屋根の点検やリフォームについて気になることがあれば、専門の業者に相談することをおすすめします。

お問い合わせ情報

松本和也

株式会社マックスリフォーム

公式サイト: https://maxreform.co.jp/
所在地:〒564-0053 大阪府吹田市江の木町5-24 フェスタ江坂401

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